水道の蛇口をひねれば当たり前に水が出る。
そんな当たり前のことが当たり前じゃなくなった2019年9月9日。
台風15号で家の南側はめちゃくちゃ、道はあちこちで倒木と土砂崩れで想像を絶する光景が目の前にあった。
信号機も消えているし、信号機自体があさっての方向を向いているし。
停電は数日間続き、断水は2週間近く続いた。
数日後に家から車で5分くらいの所に自衛隊の給水車が来てくれた。
自衛隊の方々はとても親切で、毎回自分の車のトランクまでポリタンクを運んでくれた。
そのほか、県北の水道局の給水車がわざわざ南房総の山奥の集落にまで来て、一軒一軒、家を回って給水してくれた。
うちには船橋の給水車が回って来てくれた。
ポリタンクを両手に持って通りの道まで出て行くとタンクいっぱいに水を入れてくれて最後に、「大変ですけど、頑張って下さい」と声をかけてくれた。
船橋の方だって台風の被害が大きかったと思う。
給水車の方々だって同じように大変な思いをしていた思う。
そんな人に「頑張って下さい」と言われてとても勇気づけられたし、正直ちょっと泣きそうになった。
老人二人を抱えてメンタルがいっぱいいっぱいな状態でかけてもらった言葉。
自分の人生で一番嬉しくて勇気づけられた「頑張って」の言葉。
「頑張って」という言葉は、とても簡単で、とても難しい言葉。
老人介護をしていると挨拶がわりに言われまくって正直、拒絶反応が起きていた。
でもこの時のひとことは本当に嬉しかった。
あの時の気持ちは一生忘れない。
コロナのせいで世の中がすっかり変わってしまって、
台風なんて遠い昔の記憶になっているけど、
まだ1年ちょっとしか経っていない。
あの時の思いを忘れない為にも。
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