前回(くつろぐ仔猫)の続き。
病院帰りにトイレセットを購入して家に着いたら早速猫砂を投入。
同じく購入した銀の皿にキャットフードと水を入れて与えると食べてくれた。
食後に舌をペチャペチャするので喉が乾いているのかなと思い、水を入れた皿の前に子猫を置くとペロペロと飲んでくれる。
以降、舌をペチャペチャするたびに水を飲ませたおかげか、猫は水分を余り摂らないと聞くがうちの子は比較的こまめに水分補給するような気がする。
無事に食事もひと段落したら子猫の住まい的なものが何も無いので即席で寝床を作る。
段ボールにタオルを敷いて寂しく無いように猫のぬいぐるみも入れて寝床は完成。
ケージ的なものが無いので廊下の一部に衝立を作り子猫がどっかに行かないようにする。
目を放すとあらゆる隙間に潜り込むので部屋で自由にする事が出来ない。
大き目の段ボールで隔離しようかと思ったが、段ボールの中だとトイレを設置できないので廊下に衝立を作って隔離するしかなかった。
近いうちにケージを用意しないと(後日、購入しました)。
これでなんとか、一応、寝床とトイレは確保出来た。
非常に賢い子でトイレもすぐに覚えてくれて、猫砂の上に乗せると猫砂をカキカキしながら用を足してくれる。
ウンチの時には「ンンンン~っ」ってなんとも言えない小さな声で力むのでとても可愛い(笑)
ただ、ウンチをした後のカキカキがウンチの上に乗ってするので手足がうんちまみれになるのは、まぁ仕方あるまい(笑)
しかし、猫のウンチってすこぶる臭いのね。
そんなこんなで慌ただしいと言うか色々と疲れた日ではあったが、子猫も相当疲れたのであろう、保護当日はご飯を食べたら夜泣きも余りなくスヤスヤと寝てくれた。
問題はここからで、翌日の夜中、正確には翌々日になる午前0時過ぎにこの子の母親らしき猫が家の周りに現れたのである。
初日と違い2日目は夜泣きが多くてこちらも中々寝付けない。
夜中に泣かれる度に起きては子猫をあやす。
本当は放っておくのが良いのかもしれませんが、まだ新しい環境に慣れていないだろうからとついつい子猫の様子を見に行っては抱っこしてあやす。
それを何度か繰り返していたら外から猫の声が…。
それを聞いた子猫が大きな声で泣き始める。
すると(たぶん)親猫が家の周りを回りながら、鳴きだす。
それに反応して子猫も叫ぶ。
もうね、本当にギャン泣きレベルでニャァ~ニヤァ~と叫び出して…。
こっちも母猫の鳴き声をかき消すように子猫に話しかける。
数分すると母猫の声を忘れて自分と遊び始めるが、また母猫の声が外から聞こえると子猫はギャン泣き。
これを数十分は続けただろうか。
流石にこの状況には参った。
自分はものすごく悪いことをしているのではないかと自己嫌悪に陥る。
ただ、あの時に保護しなければ死んでしまったかもしれないし。
でも、保護しなければ母猫が迎えにきて一緒に楽しく過ごせたのではないか…とか。
野生だと4、5年が猫の寿命と聞くし数ヶ月後には親離れをして子供だけで生きて行くのだろうけど、このど田舎の自然すぎる環境は厳しいのではないか…
いや、たとえ寿命が短いとしても大自然の中を好きなだけ思う存分駆け回れる方が猫にとっては幸せなのかな…。
とか色々なことを考える。
子猫を助けたのが正解なのか助けない方が正解だったのかとわけがわからなくなる。
その後も親猫との攻防を繰り返し、夜中も2時半過ぎぐらいになって咄嗟に子猫を掴んで玄関を開けて外に出た。
親猫が見えたらこの子を放そうかと思った。
しかし警戒心の高い親猫の姿は見えない。
辺りは真っ暗だ。
親猫の近くにこの子を放したとしても人間の匂いの付いた子猫を面倒見てくれる保証はない。
辺りが真っ暗なので、もし母親が見放した時に自分がこの子を見失ってしまう可能性もある。
余りにも猫の鳴き声がキツくて瞬間的に猫を返そうって思ってしまったが現実的では無いと冷静になって思い止まり、子猫と一緒に家の中に戻った。
この後は親猫の鳴き声はしなくなったので、やっと静かな夜になった。
このまま親猫の存在を忘れてくれと思いながら迎えた翌日の夜、案の定、母猫は現れた…。
昨日同様、親猫の声に反応してギャン泣き…。
昨日と同じ攻防がまた長時間繰り返される。
今回は自分だけで外に出た。辺りを懐中電灯で照らすと遠くで猫の目が光っている。
その猫に近づくと勢いよく逃げた。
心の中で「申し訳ないな」と思いつつ家に戻る。
1時間後…。
また、外から猫の声がする。
それに反応して子猫がギャン泣き。
覚悟を決めてもう一度外に出る。
10メートル先に猫がいる。
懐中電灯で照らすと、以前に見たことがある顔の周りや尻尾が長毛の猫だ。
あの子か…。
その猫に近づくと10メートルくらい逃げて振り返る。
懐中電灯で照らしながら近づくとまたダッシュで逃げた。
猫の姿が見えなくなったので家に戻る。
子猫は衝立の中でウロウロと辺りを散策していた。
親猫の愛情を感じて、改めてこの仔をちゃんとに育てないといけないと心に誓った。
この日以降、親猫が子猫を回収に来る事は無くなった。
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